第3回 ピロリ菌
みなさんこんにちは、Dr.Kreuzです。
本日のお話は、ピロリ菌です。
みなさんも名前は聞いたことがあるかと思いますが、正式な名称は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobactor pylori)といいます。
1983年にオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルによって発見されました。2005年にこの2人はノーベル生理・医学賞と受賞しています。つい最近の話です。
本日のお話の要点は3つ
① ピロリ菌について
② なぜピロリ菌はよくないのか?
③ ピロリ菌に感染していたら?
です。
【ピロリ菌について】
<感染率>
現在日本人の約3人に1人がピロリ菌に感染していると言われています(Helicobacter 2014; 19:105-110)。若年者での感染率は環境衛生の改善に伴い低下傾向ですが、高齢者では多くの人が感染しています。
<感染経路>
正確な感染経路は不明ですが、経口感染による説が有力です。保菌している親から離乳食の口移しや、ピロリ菌に汚染された水や食品の摂取などが考えられています。
【なぜピロリ菌はよくないのか?】
ピロリ菌は胃にとってよくない物質などを産生するため、長年に渡り胃粘膜などが傷害を受けます。そのため、慢性胃炎や胃潰瘍(十二指腸潰瘍)、胃癌いとった病気になります。
2016年のピロリ菌のガイドラインでは、ピロリ菌が関連すると思われる疾患は、上記の他にも、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、機能性ディスペプシア、胃食道逆流症などがあります。
パーキンソン病やアルツハイマー病、糖尿病なども関連性が疑われています。
現在では、胃癌のほとんどはピロリ菌が原因と言われています。すべての人が癌になるわけではありませんが、感染していない人にくらべて癌になるリスクは高くなります。
【ピロリ菌に感染したら】
まず、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる方法ですが、現在用いらている方法は、①特殊な薬剤を内服して、その後に息を吐いて調べる方法、②血液の中になるピロリ菌の抗体の値を調べる方法、③尿や便の中のピロリ菌の抗原を調べる方法、があります。それぞれ特徴はありますが、現在では健康診断でもオプションでありますので、気になる方は調べられるといいと思います。病院で検査する場合は、内視鏡検査とセットになりますので、特に症状がない場合は健康診断などでの検査をお勧めします。
検査でピロリ菌感染が判明した場合には、ピロリ菌を退治する薬を飲みます。
2種類の抗菌薬と1種類の胃薬を1日2回、1週間内服します。
治療が終了した後、1〜2ヶ月開けて、治療がうまくいったか確認を行います。
1回でうまく治療できる可能性は、よくても80〜90%ですので、残念ながらうまくいかなかった人は、少し薬を変更してもう一度チャレンジすることになります。
また、治療がうまくいっても、数年間は年1回程度は、胃カメラでの検査が勧められています。(癌ができることがあるため)
以上、本日のピロリ菌の話でした。
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第2回 病気について
みなさんこんにちは、Dr.Kreuzです。
今日は、『病気』についてのお話です。
『病気』ってなんですか?と聞かれたらみなさんはどう説明しますか?
風邪とか胃潰瘍とかそういうやつって言いますよね?
でも実は病気には2種類あるって知ってますか?
英語で言うと『illness』と『disease』になります。
日本語でいうと、
『illness』=『病い』
『disease』=『病気』
といった感じでしょうか。
『病い』とは自分は重い病気ではないかと心配するような状態です。
例えば、最近芸能人が大腸癌で亡くなったのを知って、「そういえば自分も最近、腹痛があり便の出が悪い」。「自分も大腸癌ではないかと心配」。「病院に行って調べてもらおう」。というような感じです。
どうでしょう。みなさんも心当たりはありませんか?
『病気』とは、実際に病名がついた状態です。
大腸の検査をしたら本当に大腸癌があった場合は、大腸癌という病名がつきます。
しかし、はじめにもいったように、多くの患者さんは『病い』で終わります。
検査をして何もなかったら安心して症状もなくなることがほとんどだと思います。
現在では、スマートフォンで簡単に自分の症状が検索できます。
しかし出て来る病名は心配になるものばかり…
調べれば調べるほど自分の症状にあてはまる…やっぱり病気だ…
と、どんどん不安になっていきます。
いわゆる『サイバー心気症』というやつです。
みなさんもこのようにならないよう、しっかりと正確な知識を身に着けましょう!
第1回 はじめに
みなさんこんにちは、Dr.Kreuzです。
はじめに自己紹介をしておきますと、私は田舎で一般内科をしております。特別専門があるわけではありませんが、健康相談から慢性疾患まで幅広く対応しております。
いつも思うことですが、病院に来る人のほとんどは治療が必要なく経過観察でよいか、市販の薬で問題ない人ばかりです。殆どの人は『不安』から受診することが多いですよね。
こんなこというと、『本当に重病だったらどうするんだ!』と怒られそうですが、その辺をふまえて、みなさんが気になる症状についてどのようなことに気をつけたらよいか書いて行こうと思います。
『病気』ってみんななるものですが、なんで学校の授業でないのかいつも不思議です。
そんなもの医者が知っていればいいと思われるかもしれませんが、風邪とか胃腸炎とか頻度の高いものくらいは知っていても損はないと思います。
このブログ『民間メディカルスクール』では、みなさんが遭遇する頻度の高い症状などについてポイントなどを、分かりやすく解説していこうと思います。